同じエチオピア イルガチェフェ(同銘柄)なのに店によって味や値段が違うのはナゼか?

エチオピアイルガチェは今やスペシャルティコーヒーの代名詞と云っても良いほど、多くのコーヒー好きから親しまれている豆です。ですから多くのコーヒー店で扱われているものと思われます。

いつもと違う店でエチオピアイルガチェを注文して飲んでみたところ「あれ・・こんな感じだっけ?」と思われたことはありませんか? 同じ銘柄、同じロースト度合いのコーヒー豆でも店によって味も値段も違ってきます。それは何故でしょうか?

1. 豆の産地・農園の違い。

エチオピア イルガチェと一言でいってもエリアは広く色々な地区(村)があります。例えばコチョレ村、コンガ村、 アリチャ村、セリンガ村・・etc そして一つの村の中に大小様々な農園が数多くあるのです。お米に例えると分かりやすいかもしれません。新潟県産コシヒカリと一言でいっても様々ですよね。

2. グレードの違い

エチオピア イルガチェの場合のグレード表記は主に、ウォッシュトはG1~G2。ナチュラルはG3~G4といったグレードがあります。グレードが高い方(G1・G3)が高品質な豆であり、風味も価格も違ってきます。

3. クロップ(鮮度)の違い

コーヒーの木は基本的に年に一度、実をつけます。コーヒーの実を収穫・精製するとコーヒーの原料の生豆になります。生豆の状態で世界の消費国に輸出されるのです。

生豆は収穫してからの経過に応じて呼称が変り新しい順に、New Crop ニュークロップ / Curent Crop カレントクロップ / Past Crop パーストクロップ / Old Crop オールドクロップと変化していきます。ニュークロップは華やかなアシディティ(酸味)と、豊かなフレグランス・アロマ(香り)が得られスペシャルティコーヒーに適しており価値も高いのです。詳しくは【スペシャルティコーヒーのニュークロップについて】

4. 精製法の違い

生豆の精製法はウォッシュト(水洗式)とナチュラル(非水洗式)に大別されます。(その中間にパルプドナチュラルというものも存在します。)一つの農園で同じ豆を元にウォッシュトとナチュラルが作られることもあり、精製法の違いで風味もがらっと変わってきます。参考【水洗式(ウォッシュト)と非水洗式(ナチュラル)の違いが分かればあなたもコーヒー通?

5. 輸送・保管状態の違い

生豆は平均して産地の農園から数千km ~ 1万KM以上 離れた日本に船で数ヶ月かけて運ばれてきます。その間の生豆の管理の仕方によって品質に影響が出てきます。例外として高級で高価なオークションロットの生豆などは真空パックされて空輸されますが、それ以外は基本的に船のコンテナで運ばれてきます。

コンテナでもリーファコンテナといって一定の温度・湿度を保ちながら生豆を運ぶコンテナと、そうでないコンテナがあります。リーファコンテナを使うとその分コストは上がりますが品質は保たれます。

また日本に入港してからの生豆の保管状態も重要です。一定の温度・湿度を保った倉庫を使うのか、そうでないかで品質・コストが違います。MORIFUJI COFFEEでは、すぐに使わない豆に関しては真空パックにて保存しています。詳しくは【スペシャルティコーヒー生豆の輸入と品質管理】

6. 生豆の選別の違い

オークションロットなどの一部の高級豆以外は、スペシャルティコーヒーの生豆といえどロットの一部に不良豆・欠点豆が含まれています。それらをそのまま焙煎してしまうと一粒の欠点豆の混入で風味がおかしくなってしまう場合もあるのです。

丁寧なロースターは、焙煎前と焙煎後の二回にわたり欠点豆の混入をチェックし取り除いていきます。手作業で行われることからハンドピックと云われていますが時間と労力のかかる地道な作業です。ハンドピックをするのとしないのとでは人件費も違ってきます。機械化された大量生産などではハンドピックはほぼ不可能と思われます。詳しくは【スペシャルティコーヒー生豆の輸入と品質管理】

7. 焙煎機の違い

焙煎機の構造は大きく(直火・半熱風・熱風)と3種類に分類できます。この焙煎機の構造の違いによって同じ豆を焙煎しても風味が異なってくるのです。また同じ方式の焙煎機でもメーカーや型番によっても特性が異なってきます。詳しくは【焙煎機 直火・半熱風・熱風】

8. ロースト度合いと基準の違い

店によって、エチオピアイルガチェ(同じ銘柄)のミディアムローストでも酸味が強いと感じる店もあれば、ほとんど酸味を感じられない店もあり、また豆の焼け色も異なってくる場合があります。

実は、ロースト度合いの基準や呼称も統一されているわけではないのです。一般的にはローストの8段階(ライトロースト ~ イタリアンロースト)を用いて分類されることが多いように思いますが、ミディアムローストでもハゼのタイミングを目安とするのかアグトロン値(色味)を目安とするのかによっても違ってきます。実際のところ、各コーヒー店によって基準はまちまちなのです。詳しくは【ロースト度(焙煎度)の8段階

9. ロースト技術の違い

ロースター(焙煎士)が100人いれば、100通りの焙煎方法があり、同じ豆を同じロースト度に仕上げてもそれぞれ味が異なってきます。見た目ではほとんど区別がつきませんがカップには現れてくるのです。コーヒー焙煎は生豆を焼くという一見してシンプルな作業。シンプルにも思えるその中に多様さを秘めています。

この部分の多くは企業秘密とされ語られる機会はほとんどありませんが、実はコーヒーの味を決めるとても大きな要因となっているのです。豆の銘柄で選ぶよりロースターで選ぶ方が間違い無いと云われるほどです。

公開日 最終更新日 2015/10/28 MORIFUJI COFFEE

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